海水魚の病気対策
白点病
海水魚の病気といえば、ほとんどがこの白点病との戦いになると言っても過言ではありません。
白点を制する者はマリンアクアリウムを制す!
このような言葉が出てきそうなほど、海水魚の病気と言えばまず白点病でしょう。しかし早期発見、早期治療ができ、正しく治療ができれば怖くはありません。病気を恐れずに、かわいい海水魚たちを救うためがんばりましょう!
白点病の治療を始める前に
ここでは管理人が実際に試してみて効果があると感じた白点病の治療方法をご紹介しますが、この治療法には科学・化学的根拠は一切ありませんし、世間で認められている治療法でもありません。
しかし管理人のタンクメイトをはじめ、たくさんの方々の白点病完治報告を頂いています。生き物を扱うことなのでこの治療法で100%完治するとは言い切れませんが、しっかり手順を守り、努力を怠らなければ完治して助かる魚達もたくさんいると思っています。
白点病の治療法の組み合わせ
個々の治療法では効果が薄いとされていますが、以下の3つの治療法を組み合わせれば効果は上がると考えています。
- 低比重法
- 連続換水法
- グリーンFゴールド顆粒での薬浴
注意点として、幼魚などの小さな魚は体力が無く、薬浴治療では負担が掛かるのでこの治療法はおすすめ出来ません。
この治療法で「完治しなかった」「魚が死んでしまった」などの苦情やトラブルがあったとしても、一切責任は負えませんのでご了承ください。
白点虫の生態
白点病の原因となる白点虫は、学名をCryptocaryon irritans(クリプトカリオン イリタンス)と言います。
白点虫は常に水槽内に存在していて、水槽内から完全に駆除するのは不可能です。
24時間周期で魚の体に寄生したり離れたりします。離れている間は爆発的に増え、再び寄生する時は増えた分が一気に魚に寄生します。
白点虫は夜行性なので離れる時は夜です。
夜と言っても、アクアリウムでの照明消灯後のことではなく時間的な夜のことです。白点虫は体内時計を持っているので、夜間に照明を点灯していても明るさには影響せず、夜と認識しています。
原因
ほとんどの場合は環境の変化だと思います。
急激な水質変化、水温変化などから海水魚にとってストレスとなり、その結果免疫力低下により白点虫に寄生されます。
考えられる原因は以下の通りです。
- 夏の暑さで高水温になってしまった。
- 冬の寒さで低水温になってしまった。
- 一度に大量の水換えを行った。
- 水槽に魚を入れる時に水合わせに失敗した。
- 魚同士のケンカによるストレス。
- 購入した時点で魚が弱っていた。
- 季節の変わり目(人間も風邪などひきやすいですよね)
- 水槽にむやみに手を入れたり、人間の歩く振動音などによるストレス。
・・・などなど
症状
白点虫が魚のヒレ、体表、エラなどに寄生します。
良くある間違いですが、白点病は他の魚に感染する感染症ではないので、1匹の魚が白点病にかかったからと言って、他の魚も白点病になるわけではありません。

寄生された魚は白点虫を取ろうとして、ライブロックなどに体を擦り付け、その結果体に傷が付き充血し、エサも食べなくなり、最終的にはエラに寄生した白点虫によって呼吸困難を起こし、☆になります。結構むごいです。
また体をこすり付けた段階で、その傷口から別の違う病気に感染してしまう場合もあります。
症状の流れ
段階 | 症状 |
---|---|
前兆 | 魚がライブロックなどに体を擦り付けます。 この時点では白点虫は寄生していますが、目には見えません。 |
初期 | ヒレに白く小さな(0.3〜0.5mm)ポツッとした点が現れます。 これが白点虫の姿です。 |
中期 | 体表にも白点虫が付き、呼吸の数が増えて、全体の白点虫の数も増えます。 |
末期 | 全身白点で覆われ、ほとんど動かなくなります。 |
最期 | エラに白点虫が寄生して、呼吸困難で死に至ります。 |
前兆〜初期ぐらいの症状でしたら、まだ治療は何もせず数日間様子を見ることで、自然治癒する可能性も十分にありえます。
数日後、白点虫の数が増えている(中期の症状)ようでしたら、この辺で治療の準備をして、治療を開始しましょう。
末期の症状まで進行してしまうと、魚の体力もほとんど残っていないので完治は難しいでしょうが、可能性は十分にありますので最期まで諦めてはダメです。
予防法
水温と水質を出来るだけ一定に保つ!出来るだけ環境に変化を与えない!これに尽きると思います。
予防法としては以下のようなことが挙げられます。
水温に関しての予防法
- 水槽用クーラー・冷却ファンを設置する。
- ヒーターを設置する。
- 部屋のエアコンを効かす。
- 水換え時に水槽の海水と新しい海水の水温を合わせる。
- 購入してきた魚は必ず水温合わせをする。
水質に関しての予防法
- 殺菌灯を設置する。
- 水換えをさぼらない。
- 水換え時に大量の水換えをしない。
- 購入してきた魚は必ず水質合わせをする。
その他の予防法
- 照明器具の点灯/消灯時間のサイクルを崩さない。
- 魚の購入時はなるべく元気な個体を選ぶこと。
- むやみに水槽内を網などでかき回さない。
- 水槽の近くを通る時はなるべく静かに通る。
治療法
硫酸銅や銅イオン製剤を使用するのが一番効果の高い方法です。しかし海水魚にとって劇薬なので、体力を消耗している個体にはリスクが大きいです。しかも一定の濃度を保ってあげないと効果が薄れてしまうため、市販の銅テスターを使用しながら治療しなければならないので、初心者の方には向いていません。
またエビや貝類などの無脊椎動物にも無害で本水槽内でも治療が可能と言われている「ヒコサンZ」や「ストップパラサイト」などのいろいろな白点病治療薬がありますが、経験上今一効果が見られないように思います。
なぜなら白点虫も無脊椎動物だからです・・・。
そこでオススメなのが、グリーンFゴールド顆粒という薬です。この薬は無脊椎動物には害のため、本水槽内では使用できないのでトリートメントタンクと言う別の治療専用水槽を用意する必要があります。
管理人は何度もこの薬で治療を成功させた実績がありますので、この薬を使用しての治療方法を書かせて頂きます。
グリーンFゴールド顆粒という商品には、以下のように良く似た商品名の治療薬がありますが、これらは成分や効能が違うのでここでは使用しないでください。
これから使用するのはグリーンFゴールド顆粒という粉末タイプの治療薬なので間違いの無いようにしてください。
グリーンFゴールド顆粒と良く似た商品名の治療薬
- グリーンF
- ニューグリーンF
- グリーンFクリアー
- グリーンFリキッド
- グリーンFゴールドリキッド
※ グリーンFゴールド顆粒の箱に注意書きとして「海水使用不可」と書かれていると思いますが、海水でも使用出来るのでご安心ください。
準備する物
- 小型の水槽(衣装ケース、バケツ、発泡スチロールなどでもOK)※1
- 水槽のフタ(光を通す透明な物が良い)
- 水温計
- ヒーター
- 照明器具(小型の蛍光灯でOK)
- エアーポンプ(ブクブク)
- 新しい人工海水 ※2
- 白点病の海水魚
- グリーンFゴールド顆粒(下記参照)
※1:以下トリートメントタンクと呼びます。
※2:1.017〜1.019の低めの比重にすると薬が良く効きます。
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ニチドウ グリーンFゴールド顆粒 6g 2g×3包入りタイプです。 |
ニチドウ グリーンFゴールド顆粒 25g 5g×5包入りタイプです。 |
トリートメントタンクの初期セット
- トリートメントタンクに新しい人工海水を入れます。
- エアーポンプを設置してブクブクとエアレーションをします。
- ヒーターを設置します。
- 照明器具を設置して点灯します。
- ブクブクの泡が弾けたしぶきを防ぐためにフタをします。
※ この時まだ白点病の魚はトリートメントタンクへ入れないでください。
グリーンFゴールド顆粒投入
トリートメントタンクにグリーンFゴールド顆粒を入れます。
この時、グリーンFゴールドの箱に書かれている規定量の半分以下の量を、溶けるまで良くかき混ぜます。見た目の目安としてはほんのり黄色なのですが、この判断は個人差があると思いますのでなかなか難しい所ですが、要するに規定量の半分より少なく入れれば問題ありません。
規定量をそのまま守ったり、入れる量が多すぎて薬が濃すぎた場合などは、薬に含まれる有害な成分の影響で治療どころじゃなく、すぐに死んでしまったりする場合があります。
また、長期間の薬浴を続けた場合は、薬の副作用でリムフォシスティス病にかかりやすくなってしまう可能性があります。
以下の写真は普通の水槽とグリーンFゴールド顆粒を混ぜたトリートメントタンクを比較したものです。

左は普通の水槽、右はグリーンFゴールド顆粒を混ぜた水槽です。
薬を混ぜるとこのようなほんのり黄色の海水になります。赤いサンゴのような物はプラスチック製のオモチャですので、間違っても生きている本物のサンゴは入れないでください(笑)
白点病の海水魚をトリートメントタンクへ入れる
- 本水槽からトリートメントタンクに魚を移す時に、軽く水合わせを行います。
- 水合わせが終わったら、魚をトリートメントタンクに移します。
- 魚を移したら丸一日そのままで様子を見ましょう。
- エサを食べるようでしたら与えてください。
- 本水槽内の白点虫を出来るだけ持ち込まないようにするために、トリートメントタンク内に本水槽の海水が出来るだけ入らないようにしてください。
- トリートメントタンクには濾過フィルターを設置しておらず、汚れを濾過することが出来ないため、海水を汚す原因となるエサの与えすぎには注意しましょう。
トリートメント中の本水槽の対応
飼育している全ての魚がトリートメント中の場合、本水槽内は寂しい状態になっていますね。
この状態でも無脊椎動物のためにいつも通りのサイクルで照明のON/OFFや足し水などの世話を忘れないでください。そして白点病になった原因を解明してこれを改善しなければ、白点病完治後の魚を本水槽へ戻しても、また白点病の再発となってしまいます。
その改善方法はみなさんの水槽によって違いますので、ここでは割愛します。
毎日の世話
症状の進行具合にもよりますが、この治療法で3日〜1週間ぐらいで完治すると思いますので、その間は毎日必ず以下の作業を行います。この毎日の世話をしないと結果的に治療が長引くことになり、長期間魚にストレスがかかってしまいます。
全換水する時間帯ですが、上記に書いた通り白点虫は夜間に一旦魚体から離れるので、その時間帯を狙って全換水と共に白点虫を排除するため、18:00〜24:00ぐらいの間の時間帯に行います。
- 新しい人工海水を作ります。 ※1
- 新しい人工海水にグリーンFゴールド顆粒を適量混ぜます。
- トリートメントタンク内の白点病の魚を一旦別の入れ物に取り出します。 ※2
- トリートメントタンクに設置されているヒーター、エアーポンプ、水温計を取り出して水道水で良く洗います。
- トリートメントタンクの黄色い海水を全て捨てて、水道水で良く洗います。
- トリートメントタンクに新しく作った人工海水を入れます。
- トリートメントタンクに器具を設置します。
- 白点病の魚をトリートメントタンクに戻します(水合わせは不要)。
※1:1.017〜1.019の低めの比重にすると薬が良く効きます。
※2:トリートメントタンクがもう一つあると、そちらに新しい海水を作っておけば、すぐに移せるので作業の面でも魚のストレスの面でもメリットが大きいです。
濾過フィルターが設置できず、1日で海水が汚れるため毎日全換水を行いますので結構大変な作業になります。
ちなみに餌は食べるようでしたらいつも通り与えてください。元気があれば食べてくれるはずですが、残された体力にもよりますが、もし食べられなくても1週間ぐらいは持ってくれると思います。
魚に白点が見えなくなったら
魚体を見て白点が確認できなかったら治療は大成功です。
おめでとうございます!そしてお疲れ様でした!
最後に魚を本水槽に戻しますが、この時水合わせを行ってから戻してください。
この時トリートメントタンク内の海水を出来るだけ入れないように注意しましょう。
出来れば本水槽の海水を少しすくって、魚の体にバシャっとかけて薬を落としてから本水槽に戻すとなお良いですね。
最後に使った器具などを洗って片付けて、毎日の大変だった作業はとりあえず終わりです。
これからは再発させないように白点病になった原因を正さなくてはなりませんので、まだまだ試練は続きます。
- 出来れば白点が見えなくなった後2〜3日の間トリートメントした方がより確実に完治してくれると思います。